診療支援
治療

ショック
shock
宮原瑤子
(国立成育医療研究センター手術・集中治療部)

治療のポイント

・ショックとは,急性・全身性の循環障害によって組織の酸素需要に供給が見合わなくなった状態である.

・病因の特定よりも病態や緊急度の把握が優先される.

・治療の基本は高流量酸素投与と十分量の等張晶質液投与である.

・5年ごとに改訂されるPALSプロバイダーズマニュアルは蘇生に関する知見のupdateにもなり有用である.

●病態

・ショックとは,急性・全身性の循環障害によって組織の酸素需要に供給が見合わなくなった状態である.

・酸素供給量は心拍出量(前負荷,心筋収縮力,後負荷,心拍数)と酸素含量により規定される.

・早期に介入しなければ急速に心肺機能不全へ進行し心停止に至る.

A.重症度分類

1.代償性ショック

・血圧は保たれているが組織灌流は不十分な状態.頻脈や末梢血管収縮〔末梢冷感やcapillary refilling time(CRT)の延長・尿量減少〕などにより重要臓器灌流を維持するための代償機転が働いている状態.

2.非代償性ショック(低血圧性ショック)

・代償機転の破綻から低血圧に至り,心停止が切迫している状態.

・年齢による低血圧の目安:安静時収縮期血圧

 a)満期産の新生児(0~28日):<60mmHg

 b)乳児(1~12か月):<70mmHg

 c)小児(1~10歳):<70+(年齢×2)mmHg

 d)小児(>10歳):<90mmHg

B.病態分類

1.循環血液量減少性ショック

・下痢や嘔吐,発熱などを原因とする脱水,または出血により血液の絶対量が減少して起こる循環障害.

2.心原性ショック

・先天性心疾患,心筋炎,不整脈などにより心機能が低下して起こる循環障害.

3.血液分布異常性ショック

・血液の絶対量は正常でも血管の異常拡張により相対的脱水となって起こる循環障害.

4.閉塞性ショック

・心臓への灌流や心臓からの拍出が物理的に阻害されて生じる循環障害.

●治療方針

 ショック治療の目的は組織

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