●病態
・日本中毒情報センターへの年間問い合わせの8割は5歳以下の小児であり,そのほとんどは家庭内で起きた事故である.
・一方,思春期は自殺企図による薬物中毒がみられるため身体的治療はもちろんのこと,本人や家族の精神的ケアに加え,家庭や学校といった社会的な調整も必要となる.
●治療方針
A.患者評価
治療の基本は呼吸管理,循環管理(不整脈,ショック),中枢神経管理(意識障害,けいれん),体温管理(高体温,低体温)といった全身管理である.それと並行して原因薬物の排除(吸収の阻害,排泄の促進)を行い,特異的な拮抗薬や解毒薬があればすみやかに投与する.そのためにはTriageDOAなどの中毒スクリーニングキッド使用や空包などから可能な限り情報を収集し,原因物質を特定する.「いつ,どこで,何を,どのくらい,どのように摂取したか」といった詳細な問診を行う.
気道閉塞,誤嚥や化学性肺炎,意識障害によって呼吸不