●病態
・新生児の電解質異常を評価するうえで重要なのは,循環血液量の評価である.電解質の値の低下が希釈性か喪失性か,また上昇が濃縮性か過剰摂取(分布異常)に伴うものか,を鑑別するうえで,電解質の値だけでなく尿量や体重の評価が重要となる.
A.新生児早期の電解質異常
・高カリウム血症(K≧6.5mEq/L)が重要である.早産極低出生体重児では非乏尿性高K血症をしばしば認めるが,子宮収縮抑制薬(リトドリンや塩酸塩硫酸マグネシウム)を分娩前まで使用された母体から出生した児で,生後24時間以内に症候性の高K血症をきたす危険性も指摘されている.
B.新生児後期の電解質異常
・体重増加不良(体重減少)に加え,電解質異常を認めるときは内分泌疾患や腎尿細管機能異常の鑑別が必要となる.急性期の血漿副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),抗利尿ホルモン(ADH),レニン・アルドステロンに加え,血清・尿の検体ストックを可能な限り心がける.
・一方,早産児の急性期離脱後循環不全(いわゆる晩期循環不全)も対応が遅れると高頻度に神経学的後遺症を残すため,注意が必要である.
●治療方針
A.新生児早期高カリウム血症
心電図異常(徐脈やQRS幅異常)を伴うときはまずカルチコールの急速投与を行いつつ,ブドウ糖インスリン(GI)療法をすみやかに開始する.ブドウ糖インスリン比10~15を初期目標として適宜増減する.GI療法を継続するためには,中心静脈の確保が望ましい.
Px処方例 ➊を行いつつ➋を開始する.
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