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治療

GM1/2ガングリオシドーシス,異染性白質ジストロフィー,クラッベ病
GM1/2 gangliosidosis,metachromatic leukodystrophy,Krabbe disease
酒井規夫
(大阪大学大学院保健学専攻成育小児科学・教授)

●病態

・細胞小器官ライソゾームの酵素欠損により発症するライソゾーム病のなかで,蓄積物質がスフィンゴリピドに分類される複合脂質である疾患群を(スフィンゴ)リピドーシスといい,他項で記載のGaucher(ゴーシェ)病,Niemann-Pick(ニーマン・ピック)病,Fabry(ファブリー)病以外にGM1/2ガングリオシドーシス,異染性白質ジストロフィー,Krabbe(クラッベ)病などを含む.

・蓄積基質,欠損酵素,主たる臨床症状,病型については表1のとおりである.

・スフィンゴリピドは神経細胞などで重要であり,多くの疾患で中枢神経症状,末梢神経症状をきたす.GM1/2ガングリオシドーシスは中枢神経細胞が障害されるのが中心病態であり,異染性白質ジストロフィー,Krabbe病は中枢,末梢のミエリン形成細胞の障害による脱髄が基本である.

●治療方針

A.GM1/2ガングリオシドーシス

 まだ標準治療としての根本治療法が確立しておらず,けいれんやさまざまな神経症状に対する支持療法が中心となる.しかし,胃瘻や呼吸補助療法により生命予後は著明に改善する.てんかんは時に難治な経過をたどるため専門的なフォローを要する.

B.異染性白質ジストロフィー,Krabbe病に対して

 造血幹細胞移植が国内では唯一可能な治療法である.しかし発症時期,進行状況によりリスクや治療効果が異なるため,その適応には慎重な検討が望ましい.いずれも国内での施行例は10例前後に過ぎない.

 異染性白質ジストロフィーでは,高率に胆嚢炎,胆嚢ポリープの合併を認めるため定期的な腹部エコーのフォローを要する.

■患児・家族説明のポイント

・希少疾患であるがそれぞれ患者会が存在するため,コンタクトによりさまざまな情報収集,心理支援が可能である.

・GM1/2ガングリオシドーシス:日本ムコ多糖症患者家族の会

  http://www.mps-japan.

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