診療支援
治療

胆汁酸代謝異常症(胆汁酸生合成異常症)
inborn error of bile acid synthesis
木村昭彦
(久留米大学小児科学・臨床教授)

治療のポイント

・早期診断できれば経口1次胆汁酸療法で治療可能.

・診断が遅れれば胆汁うっ滞性肝硬変へ進展し,肝移植が必要となる.

●病態

・胆汁酸代謝異常症とは,胆汁酸生合成経路の遺伝性酵素欠損を1次性の病因とするもので,中間代謝産物である異常胆汁酸もしくは胆汁アルコールの肝細胞内蓄積により,肝機能障害を生じる疾患である.

・現在,3β-hydroxy-⊿5-C27-steroid dehydrogenase/isomerase(HSD3B7)欠損症,⊿4-3-oxosteroid 5β-reductase(SRD5B1)欠損症,sterol 27-hydroxylase(CYP27A1)欠損症,oxysterol 7α-hydroxylase(CYP7B1)欠損症,α-methylacyl CoA racemase(AMACR)欠損症,D-bifunctional protein(DBP)欠損症,sterol carrier protein X(SCPx)欠損症,70-kDa peroxisomal membrane protein(ABCD3)欠損症,bile acid-CoA:aminoacid N-acyltransferase(BAAT)欠損症,bile acid-CoA ligase(SRC27A5)欠損症の10種類が報告されている.

・遺伝形式は常染色体劣性遺伝.発生頻度は原因不明な胆汁うっ滞症の2%前後と推測される.症状は,黄疸,時に灰白色便,濃黄色尿を主訴とし,閉塞性黄疸を伴う肝機能障害で,進行すれば肝脾腫を認める.血液検査では,直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症,肝胆道系逸脱酵素(AST,ALT)の上昇,総コレステロールの上昇,脂溶性ビタミンの欠乏,などが認められる.

・診断は次の3つで行われる.

1.一般検査

 閉塞性黄疸があるにもかかわらず,血清γ-GTPと総胆汁

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