治療のポイント
・栄養・摂食・吸収障害の存在や,薬物・中心静脈栄養の際に注意が必要である.
・まれではあるが先天代謝異常症や,吸収障害を呈する疾患の存在も念頭におく.
・摂取推奨量と治療量を意識して過剰投与に注意する.
●病態
・ビタミンとはヒトが生存に必要不可欠であるが,体内で合成できない有機化合物のうち必要量が微量なものの総称であり,13種類存在する.
・水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに大別され,一般的に水溶性ビタミンは過量摂取してもすみやかに尿中に排泄されるため過剰症はきたしにくいが,脂溶性ビタミンは蓄積性が高く過剰症を伴いやすい.
・欠乏症および過剰症は,食習慣やサプリメントなどの栄養環境によるものや,内服薬や中心静脈栄養,消化管切除後などの治療に伴うものが多く,注意深い問診が診療上重要である.
・近年の小児科領域で特徴的な欠乏症としてはイオン飲料の多飲によるビタミンB1欠乏症や,加水分解乳やアミノ酸乳を使用したビオチン欠乏症などが報告されている.
・依存症は先天代謝異常症やその他の疾患に伴うものが多く,通常の投与量以上の量の投与を要することが多い.各種先天代謝異常症については日本先天代謝異常学会よりガイドラインが提唱されている.
●治療方針
各摂取推奨量は,厚生労働省より5年ごとに改訂公表されている「日本人の食事摂取基準」に年齢別に推奨量,目安量および耐容上限量が記載されている.
ビタミンA,B6,C,D,E,葉酸,ナイアシンでは過剰症の報告はあるが,過剰摂取によるものでありその摂取を制限し対症療法を行う.欠乏症の治療詳細を下記に記載する(依存症の詳細は第6章「先天代謝異常」参照).種類によっては反応しない患者が存在する疾患もあるため,反応性を確認したうえで投与継続するか否かを検討する.
A.水溶性ビタミン
1.ビタミンB1
a.欠乏症 脚気,Wernicke(ウェルニッケ)脳症,Kors
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