●病態
・全身性炎症反応症候群(SIRS)は,感染に限らず外傷・熱傷などの非感染性の侵襲,あるいは免疫・炎症性疾患や急性膵炎などが引き起こす,非特異的全身性炎症反応である.
・生体への侵襲により炎症性サイトカインや各種ケミカルメディエーターが全身を循環し,血管内皮細胞や好中球の活性化を生じ,制御されない炎症は血管内皮細胞傷害,最終的には多臓器不全に至る.
・診断基準項目には体温,呼吸数,心拍数,白血球数があげられるが,年齢によってその基準値が異なる.また血圧や意識状態,凝固系や腎機能検査などの臓器機能障害の程度で重症度が異なってくる.
・「日本版敗血症診療ガイドライン2016」では,小児における敗血症やSIRSについて独立した章のなかで記載されている.
●治療方針
SIRSの治療は原因の除去,播種性血管内凝固症候群(DIC)への対応ならびに呼吸,循環を含めた全身管理,高サイトカイン血症の是正を目的とする.
A.原因の除去
感染や外傷,熱傷などのSIRSを引き起こす契機となった事象に対する治療は必須である.適切な抗菌薬使用をはじめ,壊死組織のデブリードマンや膿瘍に対するドレナージなどを必要に応じて行う.
B.全身管理,DIC治療
全身状態に応じて,初期急速輸液のほか循環作動薬も使用する.DICあるいはその徴候に対してアンチトロンビンⅢ製剤やトロンボモジュリン製剤を使用することが多い.
Px処方例 下記の薬剤を症状に応じて適宜用いる.
➊ノイアート薬注 1回40~60単位/kg(最大3,000単位) 1日1回 緩徐に静注または点滴静注.ヘパリン併用の際は出血に注意.少なくとも2日以上使用して,その効果を判定し使用の継続を判断する
➋リコモジュリン薬注 1回380単位/kg 1日1回 30分で点滴静注 7日間以上投与した場合の有効性および安全性は確立していない
C.高サイトカイン血症の是正
小児リウマチ
関連リンク
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