治療のポイント
・基本病態である気道炎症を抑制し,無症状状態の維持,呼吸機能の正常化,QOLの改善をはかる.
・危険因子(受動喫煙,ペットへの曝露など)への対応,患者教育やパートナーシップの向上にも努める.
・「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017」の薬物療法プランにより,重症度に応じた治療ステップの基本治療から治療を開始する.
・吸入ステロイドを使用中は,少なくとも年1回の身長測定を行う.
●病態
・可逆性の気流制限によって特徴づけられる慢性の気道炎症を特徴とする疾患で,小児の慢性呼吸器疾患のなかで最も一般的にみられる.小児ではアトピー型喘息が主体で,IgE抗体の関与するアレルギー性気道炎症が中心となる.
・症状は,発作性に喘鳴や咳嗽,呼気延長を伴う呼吸困難を繰り返し,ごくまれには致死的となる.
・診断は,アトピー素因,臨床症状,臨床所見,呼吸機能検査などを参考に総合的に判断する.類似症状を示す気道系,心血管系の疾患を除外する.
・重症度は,発作の程度と頻度をもとに間欠型,軽症持続型,中等症持続型,重症持続型に分類される(表3図).
・運動誘発喘息(EIA)は,冷たく乾燥した環境で高強度の運動を続けた場合に起こりやすく,運動時の換気増大や口呼吸による気道の冷却と水分喪失に伴う気道上皮の刺激が誘因と考えられている.
●治療方針
長期管理では薬物療法だけでなく,危険因子への対応,および患者教育やパートナーシップの向上が重要であり,評価・調整・治療のサイクルを基本とする.薬物療法は気道炎症に対する抗炎症治療が中心で,吸入ステロイドが基本であり,その他ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を使用する.
「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017」では,5歳以下を「乳幼児喘息」とし,5歳以下と6~15歳の2つの薬物療法プラン(表4図)が示されている.診断時に喘息が未治療の場合には,重症度に応
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