診療支援
治療

インフルエンザ
influenza
新庄正宜
(慶應義塾大学小児科学・専任講師)

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[感]5類 [学]2種〔発症した後5日を経過し,かつ,解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで〕

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治療のポイント

・抗インフルエンザ薬は,経口2種類,吸入3種類,点滴1種類の5薬剤が存在し,通常発症48時間以内に開始する.

・重症例では,点滴静注薬であるラピアクタ,もしくは治療成績の多いタミフルを用いる.

●病態

・インフルエンザウイルス(分節状のマイナス鎖RNAを遺伝子とするオルソミクソウイルス科ウイルス)による感染症である.

・A~C型のうち,A型(ヒトを含む哺乳動物と鳥類に広く分布),B型(通常ヒトのみ)では迅速抗原検査で診断が,抗ウイルス薬で治療が,毎年の予防接種で予防が,それぞれ可能.以下A型とB型について述べる.

・ウイルス粒子の表面にはヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在し,A型はH1~16とN1~9の亜型に分類される.通常ヒトに流行を起こすA型は,H1N1,H3N2,(H2N2)の3つである.

・発熱・悪寒・筋肉痛・倦怠感で発症し,呼吸器症状や腹部症状を伴う.乳幼児では年長児に比し,ほかの感冒と区別がつきにくい.

・乳幼児では熱性けいれん,中耳炎,クループ,まれに脳症を,年長児では異常行動や言動を呈することがある.2009年以降のA型H1N1の感染では肺炎が特徴的で,入院症例の4割に認められた.

●治療方針

A.通常のインフルエンザ(発症48時間以内)

Px処方例 下記のいずれかを用いる.➊~➍はノイラミニダーゼ阻害薬,➎はCAP依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬である.➋については気管支れん縮のリスクがあることから,気管支喘息および慢性閉塞性肺疾患などの慢性呼吸器疾患のある患児に対し,吸入薬(短時間

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