Ⅰ.気胸
●病態
・気胸とは胸腔内に空気が貯留した病態である.肺が虚脱した際に胸痛,背部痛,呼吸困難などの症状がみられる.
・特発性自然気胸,続発性自然気胸,外傷性,医原性などによる気胸に分類できる.
・自然気胸は肺胞が嚢胞化したブラ・胸膜直下のブレブの破裂によって起こり,背が高く痩せ型で,10~20歳代の若い男性に多い.
・気胸の発症を契機に,Marfan(マルファン)症候群,Ehlers-Danlos(エーラス・ダンロス)症候群などの結合織異常を診断されることもある.
●治療方針
気胸の重症度を判定し,虚脱した肺の再膨張を行う.人工呼吸,陽圧補助呼吸管理中の気胸,気胸をきたした胸腔が陽圧となり対側の肺や心臓を圧迫する緊張性気胸,両側性気胸の場合はすみやかに処置を開始する.
A.安静,酸素吸入
軽度(胸部X線で肺尖が鎖骨より頭側)の場合に適応となる.
B.胸腔穿刺,持続ドレナージ
中等度の場合や安静により軽快しない場合,胸腔穿刺を行う.高度の場合は第4,5肋間中腋窩線に,トロッカーカテーテル8~12Frを留置,水封式ドレナージによる-5~-10cm水柱の持続吸引を施行する.空気の排出が止まったら24時間クランプし,肺虚脱がないことを確認してカテーテルを抜去する.
C.外科的治療
胸腔鏡補助下手術(VATS:video-assisted thoracoscopic surgery)による肺尖部のブラ,ブレブの治療が早期に行われるようになった.10歳代の自然気胸患者では,入院時より呼吸器外科にコンサルトしておくとよいだろう.ブラの形状によっては開胸手術を行う.
■患児・家族説明のポイント
・自然気胸は胸腔穿刺を行い,いったん軽快しても,ほかのブラ,ブレブが残存しているため再発する可能性が約50%ある.その際はブラ,ブレブを切除する外科的治療が必要となる.
Ⅱ.縦隔気腫
●病態
・縦隔気腫とは縦隔内に空気