治療のポイント
・治療は寛解導入療法と寛解維持療法に分けられる.詳細は「小児潰瘍性大腸炎治療指針(2019年3月改訂)」を参照する.
・小児期発症の潰瘍性大腸炎は病変範囲が広く重症化しやすいことから,治療反応性を見極めながら,必要に応じてすみやかに治療をステップアップすることが望まれる.
・ステロイド依存性の患者では,成長障害をはじめとする合併症もふまえ,免疫調節薬や生物学的製剤の導入も考慮し,寛解維持目的にステロイドを使用しない.
●病態
・病因はまだ十分に解明されていないが,遺伝的素因を背景に,食生活を含めた環境因子,腸内細菌叢などの影響から腸管免疫に異常をきたし腸炎を発症する多因子疾患と考えられている.
・大腸粘膜に連続性に生じた粘膜の炎症に伴い下痢や血便,腹痛などをきたすが,小児期発症例では成人期発症例に比べて病変が広範で,重症度も高いことが知られている.
●治療方針
薬物療法により,腸管粘膜の炎症を沈静化することで寛解導入したうえで,長期の寛解維持を達成することを目指す.治療の目標は症状の改善のみでなく,内視鏡的粘膜治癒を達成することが,寛解維持期間を延ばすだけでなく,発癌を含む合併症の予防にもなると考えられている.特に小児では,成長や二次性徴にも配慮したステロイドの長期使用の回避とともに,学校生活を含む社会生活への負担を減らしQOLを改善することも考慮する.
内科的治療が奏効しない症例,特に劇症例は,潰瘍性大腸炎診療に精通した医師や外科医にも相談し,必要に応じて大腸全摘術を選択することになる.
A.寛解導入療法
直腸炎型では原則5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤の局所療法が勧められる.必要に応じてステロイドの局所療法も選択される.
左側大腸炎型,全大腸炎型の軽症~中等症では,5-ASA製剤の単独経口療法が勧められるが,直腸病変が強い場合や経口療法で不十分な場合は5-ASA製
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