治療のポイント
・病因により治療方針が大きく異なる.
・B型慢性肝炎ではウイルス駆除はできない.したがって,究極的には発がん抑制が目的である.
・C型慢性肝炎ではウイルス駆除が可能である.したがって,ウイルス駆除を目標とする.
・自己免疫性肝炎はステロイド治療によく反応するが,反応しない場合には原発性硬化性胆管炎との鑑別が必要となるが,両者を合併する症例もある.
●病態
・肝細胞をターゲットとした炎症が6か月以上持続する肝障害をよぶ.
・主な成因としてはB型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス,自己免疫がある.
・B型慢性肝炎,C型慢性肝炎は「小児B型・C型慢性肝炎の治療指針(平成29年度版)」を参考にする.
・自己免疫性肝炎は「自己免疫性肝炎(AIH)診療ガイドライン(2016年)」の小児の項目を参考にする.
●治療方針
A.B型慢性肝炎
1.治療適応
HBe抗原陽性例では,トランスアミナーゼ値上昇が2年以上持続し,肝病理所見が新犬山分類でA2あるいはF2以上が適応となる.HBe抗原陰性例では,トランスアミナーゼ値上昇が1年以上持続する場合には肝生検を行い,肝病理所見が新犬山分類でA2あるいはF2以上の例が適応となる.
2.治療の原則と目標
インターフェロンあるいはペグインターフェロンの単独治療が基本となり,3歳以上が適応となる.
短期的にはALT正常化,HBV DNA量低下(20,000IU/mL未満),HBe抗原陽性例ではHBe抗原陰性化が目標となる.長期的にはHBs抗原陰性化を治療目標とする.
インターフェロン無効例で,肝炎が1年以上持続する例,肝硬変症例などでは核酸アナログによる治療を検討する.
Px処方例
ペガシス薬皮下注 1回3μg/kgまたは180μg/1.73m2 週1回 48週間投与.経過をみながら適宜増量する(最大1回180μg)
B.C型慢性肝炎
1.治療適応
小児のC型慢性肝炎の治療は,
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