●病態
・急性膵炎は,膵臓の急性炎症で膵の炎症が全身に波及し,血管内皮細胞傷害から遠隔臓器不全や播種性血管内凝固症候群(DIC)をきたす.
・わが国の小児における急性膵炎の成因は,胆道拡張症や膵・胆管合流異常などの解剖学的異常に起因するものが多く,その他に薬剤性,感染性,外傷性などがある.成因不明(特発性)とされていたなかに,近年,遺伝性膵炎が含まれていることが注目されており,家族歴の聴取が重要である.
・症状は腹痛,背部への放散痛,食欲不振,発熱,嘔気・嘔吐,腸蠕動音の減弱などが頻度の高い症状・徴候であるが,いずれも特異的ではないため,ほかの急性腹症との鑑別を要する.
・診断は小児においても成人を対象とした臨床診断基準(厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班2008年)に準じて行う.臨床症状,生化学検査および腹部超音波検査,腹部CTなど画像検査所見から行うことが原則であり,同時に鑑別疾患や重症
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