●病態
・1975年にElliottらが初めて動脈管開存の維持にプロスタグランジンE1(PGE1)が有効であることを報告して以降,PGE1は動脈管依存性心疾患の治療に欠くことのできない治療薬となっている.
・動脈管依存性心疾患は,以下のような3群に分類される.
a)肺血流を動脈管に依存している群:心室中隔欠損を伴わない肺動脈弁閉鎖(純型肺動脈弁閉鎖),三尖弁閉鎖,重症肺動脈弁狭窄,両大血管右室起始,Fallot(ファロー)四徴,単心室,重度Ebstein(エプスタイン),完全大血管転位Ⅲ型など.生後動脈管が閉塞するにつれてチアノーゼが増強する
b)体血流を動脈管に依存している群:大動脈縮窄,大動脈弓離断症候群,左心低形成症候群がある.生後動脈管が閉塞してくると,体血圧が低下して高度の心不全やショック(ductal shock)を生じ,無尿となる
c)体・肺循環が並列でmixingが必須な群:完全大血管転位Ⅰ型が代表的疾患で,動脈管と卵円孔開存により,肺循環と体循環の血液が混合している
●治療方針
緊急性のある場合はPGE1製剤としてPGE1-CD〔アルプロスタジルアルファデクス(プロスタンディン)〕を使用し,動脈管血流が安定していると考えられる場合は脂肪乳剤化した製剤であるlipo-PGE1〔アルプロスタジル(リプル)〕を使用する.
A.PGE1製剤の比較
1.lipo-PGE1
プロスタグランジン(PG)は肺を通過すると95%近くが不活化される.そのためPGE1を脂肪粒の中に保護することで肺を通過しても不活化されず目的血管への集積がなされ,約1/10の投与量で効果が得られることから,長期使用の際はlipo-PGE1が望まれる.
lipo-PGE1はPGE1-CDに比べて投与量が少なく,持続性も長く,副作用の合併も少ないことが利点としてあげられる.短所としては即効性がないことに加え,
関連リンク
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- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/[15]ジギタリス
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