●病態
・大動脈狭窄は狭窄部位により,弁狭窄,弁上狭窄,弁下狭窄に分類される.
・大動脈弁狭窄は,交連部の癒合による弁尖の異常で起こることが多い.二尖弁となることが最も多いが,新生児重症大動脈弁狭窄では肥厚の強い異形成弁のこともある.大動脈弁逆流を伴うこともある.
・大動脈弁上狭窄はWilliams(ウィリアムズ)症候群に関連して起こることが多い.冠動脈入口部の狭窄を合併することがある.
・大動脈弁下狭窄は大動脈縮窄,大動脈離断,房室中隔欠損などの疾患に合併する場合と,単独で起こる場合がある.
・いずれの狭窄でも左室の後負荷が増大し,左室圧が上昇する.左室には求心性肥大が起こり,左室心筋は肥厚してくる.強い圧負荷が持続すると左室心筋の線維化が生じ,拡張能だけでなく収縮能も低下する.
・軽症から中等症の患者では無症状であるが,重度の狭窄の患者では労作時息切れ,運動時の胸痛や失神などが起こる.さらに運動時