診療支援
治療

染色体および遺伝子異常に伴う先天性心血管疾患
山岸敬幸
(慶應義塾大学小児科学・教授)

●病態

・先天性心血管疾患の大部分は原因を特定できない多因子遺伝で,染色体ないし遺伝子異常が明らかな例は10%前後である.

・染色体異常症では,全身性症候群の部分症として先天性心血管疾患を合併する.一般集団で頻度の高い心室中隔欠損,心房中隔欠損などの合併率が上昇するほか,特定の染色体異常では一般集団で頻度の低い先天性心血管疾患の発生率が特に増加し〔Down(ダウン)症候群における房室中隔欠損症など〕,その先天性心血管疾患の発症に異常染色体が関与する可能性を示唆する.

・単一遺伝子異常も,多くは病因遺伝子の多面効果によって複数の異常をもたらす全身性症候群として発症し,先天性心血管疾患はその部分症として認められる.

・一方,病因遺伝子により心臓だけが障害される遺伝子異常もあるが(NKX2.5変異など),単一遺伝子異常全体のなかで占める頻度は低い.

●治療方針

 全身性症候群であることが多いので,多臓器の異

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