診療支援
治療

起立性調節障害
orthostatic dysregulation(OD)
小野 博
(国立成育医療研究センター循環器科・診療部長)

●病態

・体位の変化などによる循環血液量の不足と自律神経系の活動,すなわち心拍数増減や末梢血管抵抗の増減などが適切に作用しないために引き起こされる病態である.

・有病率は軽症例も含めると小学生の約5%,中高生の約10%といわれている.

・症状は立ちくらみ,ふらつき,動悸,息切れ,食欲不振,腹痛,倦怠感,失神または失神前症状,頭痛,思考力などの高次機能の低下である.

・午前中に症状が増悪することが多く,朝起きることができず,登校困難など生活のリズムが不安定になる.

・「小児心身医学会ガイドライン集 改訂第2版」(2015)のうちの「Ⅱ小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」では,以下4つのサブタイプに分類している.

 a)起立直後性低血圧:起立直後に強い血圧低下および血圧回復の遅延を認める

 b)体位性頻脈症候群:血圧低下を伴わず心拍増加が強い

 c)血管迷走神経失神:起立中に突然に収縮期と拡張期の血圧低

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