●病態
・乏尿は一般的には0.5mL/kg/時未満(新生児では1.0mL/kg/時未満)を指す.尿量は急性腎障害(AKI:acute kidney injury)の重症度分類である,p-RIFLE,AKIN,KDIGOの診断基準・分類に用いられるため,正確な測定および評価が必要である.
・原因としては大きく腎前性,腎性,腎後性の3つに分けられる.
a)腎前性(腎臓に至るまでの血流や血管の障害):脱水,心不全(心拍出量減少),腎動脈,腎細動脈や全身血管の抵抗の上昇,薬剤性(シクロスポリン,ACE阻害薬)など
b)腎性(腎実質の障害):原発性糸球体疾患,急性間質性腎炎,急性尿細管壊死,溶血性尿毒症症候群,横紋筋融解症,腫瘍崩壊症候群,薬剤性(抗てんかん薬,抗菌薬)など
c)腎後性(尿の排泄障害):尿路の先天性または後天的異常(尿道狭窄,後部尿道弁など),尿路の急性閉塞(結石,凝血塊など)
A.診断の流れ
a)問診による既往歴,服薬歴,現病歴の聴取
b)急激な糸球体ろ過率の低下により血清クレアチニンが上昇し,高窒素血症に伴う悪心や嘔吐,意識障害や電解質異常,高血圧の症状など詳しく症状を含めた現病歴の聴取を行う
c)心臓・腹部超音波検査,CT検査などの画像検査
d)腎盂尿管の腫大や結石などの通過障害の有無を確認し,腎後性の診断または否定する
e)さらに腎形態を確認する
f)心拍出量など心機能の評価を行う
g)血液検査,尿検査を行う
h)尿素窒素,血清クレアチニン,電解質,血漿浸透圧,BNP,血液ガス検査,尿一般定性,尿沈渣,尿中電解質,尿浸透圧,FENaなどを確認し,腎性および腎前性を鑑別する
i)糸球体ろ過量の推定に最も信頼性の高い血清クレアチニン値は,筋肉由来の酵素であり体格に左右される.小児の基準値は年齢,性別により異なるため,常に基準値と比較して判断する
●治療方針
A.腎前性
心不
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