●病態
・急性に発症する血尿,蛋白尿,高血圧,腎機能低下,水やNaの貯留をきたす「急性腎炎症候群」の代表疾患である.
・通常,先行感染を認め,その多くがA群β溶血性レンサ球菌(GAS)感染に伴う溶連菌感染後急性糸球体腎炎(PSAGN:post-streptococcal AGN)である.GAS以外の細菌(黄色ブドウ球菌など)やウイルス,マイコプラズマなどの感染後に発症する場合もある.
・PSAGNはGASによる咽頭炎の1~2週間後,GASによる皮膚感染症の3~6週間後に発症する.上記症状のほかに,低補体血症,抗ストレプトリジンO抗体(ASO)の上昇を認め,組織像は管内増殖性糸球体腎炎を呈する.
・糸球体毛細血管内腔の狭小化によりろ過機能が低下し,溢水や電解質異常を呈することが基本病態である.
●治療方針
多くの症例は自然軽快するため,支持療法が基本となる.
A.感染巣の除去
診断時にGAS感染症が持続している場合,抗菌薬治療を行う.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
B.塩分および水分管理
病期や腎機能に応じて調整する.乏尿期には塩分量を1日1g程度,1日水分量は「前日尿量+20~30mL/kg」を目安に設定する.体液貯留が悪化傾向にあれば,ループ利尿薬を投与する.利尿期に入ったら,順次制限を解除する.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
➊フロセシド細粒 1回0.5~1mg/kg(成分量として) 1日1~4回
➋ラシックス薬注(20mg) 1回0.5~1mg/kg 1日1~4回 静注
C.高血圧の治療
B.の治療を行っても高血圧が改善しない場合,Ca拮抗薬を投与する.ACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬は,高K血症の危険性があるた
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