治療のポイント
・蛋白尿の程度と腎生検所見によって治療方針を決める.
・ステロイドの副作用,特に小児では成長障害に注意しながら治療する.
・レニン・アンジオテンシン系阻害薬(RAS-I)の副作用,休薬すべきタイミング,また女子には妊娠中は使用できないことなどを伝えておく.
・寛解後も再燃する可能性があることを知っておく必要がある.
●病態
・糸球体メサンギウム細胞の増加とメサンギウム領域にIgAの沈着を特徴とし,慢性糸球体腎炎のなかで最も頻度の高い疾患である.
・糖鎖不全のIgA1の免疫複合体がメサンギウム領域に沈着し,メサンギウム細胞の増殖,各種サイトカインの産生,マクロファージなどの炎症細胞の浸潤などが起こる.
・血尿および蛋白尿を呈する.わが国では約70%が学校検尿で発見されるが,上気道炎後の肉眼的血尿が特徴的である.まれにネフローゼ症候群で発症する.
●治療方針
高度蛋白尿,びまん性メサンギウム増殖,半月体≧30%などを満たす症例は重症型と考え,多剤併用療法などの免疫抑制療法が望ましい.軽症例は,レニン・アンジオテンシン系阻害薬(RAS-I)を投与する.いずれも蛋白尿陰性を目標とする.ステロイドの投与やステロイドパルス療法を施行する場合は,成長障害(特に思春期),眼圧の上昇や白内障,骨密度低下などの副作用に注意する.
妊娠可能な思春期以降の女子には,ミゾリビンなどの免疫抑制薬やRAS-Iは妊娠中使用できないことを伝えておく.RAS-Iの副作用としてめまいやふらつきに注意する.RAS-Iは胃腸炎などの脱水時には急性腎障害や高カリウム血症のリスクが増すため休薬する.
A.重症例
副腎皮質ステロイド,免疫抑制薬(ミゾリビンまたはアザチオプリン),抗血小板薬,RAS-Iを用いた2年間の多剤併用療法を行う.
Px処方例 下記を併用する.
➊プレドニン薬錠(5mg) 1回1mg/kg 1日2回(1日最
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