治療のポイント
・小児特発性ネフローゼ症候群の第1選択薬はステロイドである.
・ステロイドに感受性か抵抗性かで治療が異なる.
・再発を早期発見して治療するためには自宅検尿(試験紙法)が重要である.
・頻回に再発する場合は免疫抑制薬やリツキサンを併用する.
・「小児特発性ネフローゼ症候群診療ガイドライン2013」を参照する.
●病態
・ネフローゼ症候群(NS)とは,糸球体基底膜障害の結果,高度蛋白尿,低蛋白血症と全身性の浮腫が起こる病態の総称である.
・NSの定義は,高度蛋白尿(夜間蓄尿で40mg/時/m2以上)または早朝尿で尿蛋白クレアチニン比2.0g/gCr以上,かつ低アルブミン血症(血清アルブミン値2.5g/dL以下)である.
・小児のNSの約90%が原因不明な特発性NSである.
●治療方針
NSの定義を満たし,後述の専門医へのコンサルトを要する症状を認めない場合は小児特発性NSと診断してステロイドを開始する.投与量は病前体重などを参考とする.体重,尿量を毎日測定して体液量を評価する.
A.NSのステロイド治療
1.初発時の治療
Px処方例 ➊➋の順に用いる.
➊プレドニン薬錠(5mg) 1日60mg/m2または1日2.0mg/kg 1日3回に分けて 4週間(1日最大60mg)
➋プレドニン薬錠(5mg) 1回40mg/m2または1回1.3mg/kg 1日1回 朝 隔日 4週間(1日最大40mg)
a)ステロイド感受性:➊の期間に蛋白尿が消失するもの
b)ステロイド抵抗性:➊の期間に尿蛋白が消失しないもの
2.再発時の治療
再発の定義は,試験紙法で早朝尿蛋白3+以上を3日連続して示すものである.再発を早期発見して治療するためには自宅検尿(試験紙法)が重要である.
Px処方例 ➊→➍の順に用いる.
➊プレドニン薬錠(5mg) 1日60mg/m2または1日2.0mg/kg 3回に分けて 蛋白尿消失確認後3日目
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