診療支援
治療

紫斑病性腎炎
Henoch-Schönlein purpura nephritis(IgA vasculitis with nephritis)
川崎幸彦
(札幌医科大学小児科学・教授)

●病態

・ヘノッホ-シェーンライン紫斑病(HSP:Henoch-Schönlein purpura)は,関節炎,紫斑や腹痛などを主症状とする小児期発症の代表的な血管炎で2012年の国際血管炎症候群会議においてIgA血管炎という名称に変更された.self-limitingな疾患であるが,約30~60%に腎炎(HSPN)を合併し,その重症度が予後を決定する.

・予後関連因子として,発症時のネフローゼ症候群や腎機能低下例,高度半月体形成例,腎生検での硬化性病変の存在などがあげられる.病因は不明であるが,細菌やウイルスなどの抗原曝露をトリガーとしてIgA1免疫複合体が形成されて,小血管壁に沈着することにより血管炎が惹起される.

●治療方針

 病理組織は国際小児腎臓病研究班の分類(gradeⅠ~Ⅵ)を使用する.

A.血尿と軽度蛋白尿(0.5g/日未満)の場合(grade Ⅰ~Ⅱ相当)

 無投薬にて経過観察か,抗血小板薬を投与する.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

➊ペルサンチン錠(25mg) 1日3~5mg/kg 1日2~3回に分けて

➋コメリアン錠(50・100mg) 1日4~5mg/kg(成分量として) 1日2~3回に分けて

B.蛋白尿(0.5g以上/日)+血尿の場合(grade Ⅲ相当)

Px処方例‍ A.の処方に,➊のACE阻害薬または➋のARBを加える.

➊レニベース錠(2.5・5mg) 1回2.5~5mg 1日1回

➋ブロプレス錠(2・4mg) 1回2~4mg 1日1回

 上記治療に反応しない場合,➌ステロイドと➍ワーファリンを併用する.

➌プレドニン錠(5mg)またはプレドニゾロン散 1日1~2mg/kg(成分量として)(最大1日60mg) 2~3回に分けて 2~4週間連日 その後隔日.2週ごとに5~10mgを減量し,6~12か月で漸減中止

➍ワーファリン錠(0.5・1mg) 1回

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