診療支援
治療

ループス腎炎
lupus nephritis(LN)
清水正樹
(東京医科歯科大学大学院小児地域成育医療学・講師)

●病態

・全身性エリテマトーデス(SLE)は,DNAの修復障害やアポトーシス細胞のクリアランス障害,死細胞由来のDNA,RNA処理にかかわる樹状細胞によるI型インターフェロンの過剰産生,自己抗体の過剰産生を背景として,免疫複合体の沈着を介して諸臓器に障害をきたす全身性の慢性炎症性疾患である.

・小児では発症3年までに90%に腎炎を認め,国際腎臓学会/国際腎病理学会分類Ⅲ~Ⅴ型の重症例が多い.

●治療方針

 低リスク,中等度リスク〔Ⅱ型(尿蛋白>1.0g/日),Ⅴ型〕,高リスク(Ⅲ型,Ⅳ型,Ⅴ+Ⅲ型,Ⅴ+Ⅳ型)に分けて治療を行う.

A.低リスク群

 プレドニゾロン(PSL)治療を行う.ヒドロキシクロロキン(HCQ)を併用することが望ましい.

Px処方例 下記➊➋を併用する.

➊プレドニン錠(1・5mg)またはプレドニゾロン散 1日1.0mg/kg(成分量として)(最大量60mg/日) 1日3回に分けて.0.1mg/kg/日(1日1回)を目指して減量し維持する

➋プラケニル錠(200mg) 理想体重31~46kg未満:200mgを1日1回,46~62kg未満:200mgと400mgを1日おきに交互に1日1回,62kg以上:400mgを1日1回

 理想体重(kg)=女性:[身長(cm)-100]×0.85,男性:[身長(cm)-100]×0.9

B.中等度リスク群

 メチルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法を行い,後療法としてPSL治療を行う.HCQに加え,免疫抑制薬を併用する.

Px処方例 ➊のあと➋を用い,A.の処方例➋に加え,下記➌~➎のいずれかを併用する.

➊ソル・メドロール注 1回30mg/kg(最大1,000mg) 1日1回 2時間で点滴静注 3日間を1コースとして2~3コース

➋プレドニン錠(1・5mg)またはプレドニゾロン散 mPSLパルス療法後,1日0.8mg/kg(成分量とし

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