診療支援
治療

予防接種要注意者への接種
vaccination for children who require careful consideration
荒木(福岡)かほる
(沖縄県立中部病院小児科)

A.接種要注意者とは

 接種の判断を行うに際して注意を要する者を指す.「定期接種実施要領」に規定する接種要注意者を以下に示す.

 a)心臓血管系疾患,腎臓疾患,肝臓疾患,血液疾患,発育障害などの基礎疾患を有する者.

 b)予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者および全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を呈したことがある者(インフルエンザの定期接種に際しては,接種不適当者となる).

 c)過去にけいれんの既往のある者.

 d)過去に免疫不全の診断がなされている者および近親者に先天性免疫不全症の者がいる者.

 e)接種しようとする接種液の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者.

 f)バイアルのゴム栓に乾燥天然ゴム(ラテックス)が含まれている製剤を使用する際の,ラテックス過敏症のある者.

 g)結核の予防接種にあっては,過去に結核患者との長期の接触がある者,その他の結核感染の疑いのある者.

B.予防接種ガイドライン

 上記A.のa)~g)の各項目に関する情報が記載されている.

 a)の基礎疾患を有する場合について,疾患領域ごとに関連学会の見解をあげているが,いずれにおいても免疫低下状態にある児を除いては原則として接種を行うべきとしている.

 b)接種後2日以内の発熱や接種後の全身性発疹のような副反応は,接種するワクチンによって一定の頻度で生じる.同じワクチンの2回目接種でも同様の副反応が起こりうるため,未接種でその病気に罹患したときに予想される病気の重さと比べて総合的に判断する必要がある.ワクチン成分でのアレルギーが疑われる場合,アナフィラキシーの既往があれば接種不可だが,それ以外では基本的に接種可能である.

 c)けいれんの既往のある者のうち,最も多いのは良性の熱性けいれんである.これに対して,日本小児神経学会では「現行の予防接種はすべて接種してよい.ただし個別にワクチンの有用性と起こり得る

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