今日の診療
治療指針

重症筋無力症
myasthenia gravis(MG)
村井弘之
(国際医療福祉大学主任教授・脳神経内科学)

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GL重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022

ニュートピックス

・新しく抗胎児性Fc受容体フラグメント製剤のエフガルチギモド アルファ(ウィフガート)が承認された.これにより分子標的薬の治療選択肢が増えた.

治療のポイント

・従来行われてきた漸増漸減による高用量の経口ステロイド投与は推奨されない.

・早期速効性治療を用いて初期から病勢を抑えることを主眼とする.

・難治性の症例については分子標的薬を用いる.

◆病態と診断

A病態

・重症筋無力症(MG)は神経筋接合部を標的とした自己免疫疾患である.

・胸腺の過形成や胸腺腫を伴うことがある.

・日内変動や易疲労性を伴う眼筋もしくは全身の筋力低下を認める.

・呼吸筋麻痺のため呼吸補助を要する最重症の状態をクリーゼとよぶ.

B診断

アセチルコリンレセプター(AChR:acetylcholine receptor)抗体または筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK:muscle-specific tyrosine kinase)抗体を証明する.

・神経筋接合部障害を示唆する所見として,エドロホニウム(テンシロン)試験陽性,反復刺激試験陽性,単線維筋電図でのジッターの増大がある.

・眼瞼下垂が認められる症例では,眼瞼の易疲労性試験,アイスパック試験が有用である.

・胸部画像検査で胸腺異常の有無を確認する.

◆治療方針

 成人MGは寛解が得られにくい疾患であり,治療が長期にわたることを意識し,生活の質やメンタルケアを良好に保つように治療戦略を立てる必要がある.最初の治療目標としては,経口プレドニゾロン5mg/日以下でminimal manifestationレベル(MM-5mg)とする.「重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022」も参考にされたい.

A全身型MGの治療

1.初期治療

 全身型MGでは免疫療法は必須

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