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GL日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)
治療のポイント
・致命的になりうる病態であり,可能な限り迅速に対応する.
・循環不全を呈する患者に対して,初期蘇生輸液や血管収縮薬投与を行う.
・全身管理と並行して感染源の同定やコントロール,経験的抗菌薬投与による感染症治療を行う.
◆病態と診断
A病態
・敗血症は,「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」と定義される.
・敗血症性ショックは,敗血症のなかでも「急性循環不全により細胞障害および代謝異常が重度となり,死亡の危険性が高まる状態」と定義される.
B診断
・敗血症は,①感染症もしくは感染症の疑いと,②SOFA(sequential organ failure assessment)スコアの合計2点以上の急上昇により診断する.
・敗血症性ショックは,平均動脈血圧≧65mmHgを保つために輸液療法に加えて血管収縮薬を必要とし,かつ血中乳酸値2mmol/L(18mg/dL)を超える場合に診断する.
・身体所見や画像所見から感染源の同定を試みる.感染源が不明な場合,可及的すみやかに全身造影CT検査を行う.また,抗菌薬投与前にすみやかに血液培養を2セット以上採取する.必要に応じて各種培養検体も採取する.
・救急外来や一般病棟ではquick SOFA(qSOFA)を用いる.①意識変容,②呼吸数≧22回/分,③収縮期血圧≦100mmHgの3項目で構成され,2項目以上を満たす場合には敗血症を疑う.しかし,感度が低いためqSOFAのみで判断しない.
・C反応性蛋白(CRP),プロカルシトニン,プレセプシン,IL-6などのバイオマーカーは診断の補助に用いる.
◆治療方針
敗血症の初期治療の目的は,循環動態の安定化と感染源のコントロールを行うことである.
日本集中治療医学会と日本救急医学会による「日本版敗血症診療ガイドライン2