診療支援
治療

肺炎球菌感染症 [■5類感染症-全数把握]
pneumococcal infection
永井英明
(国立病院機構東京病院・感染症科部長)

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ニュートピックス

・新しい肺炎球菌ワクチン(バクニュバンス)が2023年に接種可能となった.

治療のポイント

・髄膜炎と非髄膜炎とでペニシリン耐性基準が異なることを知っておく.

・ペニシリン系薬の投与が基本であるが,ペニシリン感受性結果とほかの薬剤の感受性結果を勘案して抗菌薬を選択する.

◆病態と診断

A病態

肺炎球菌はグラム陽性双球菌であり,細胞壁外に多糖体からなる莢膜をもち,これにより好中球の貪食を免れ,病原性を発揮する.莢膜多糖体の抗原性の違いにより,100種類以上の血清型に区分されている.

・肺炎球菌は乳幼児の鼻咽頭に高頻度に保菌されており,成人のなかにも一部保菌者がいる.保菌者からの飛沫感染により鼻咽頭粘膜に無症候性に定着し,感染が広がる.常在する菌が下気道に侵入することで肺炎を起こし,中耳炎,副鼻腔炎なども引き起こす.

・肺炎球菌は本来無菌的な血液や髄液などに侵入し,侵襲性肺炎球

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