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COVID-19 [■5類感染症-定点把握]
coronavirus disease 2019(COVID-19)
千酌浩樹
(鳥取大学教授・臨床感染症学)

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GL新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第10.0版(2023)

GLCOVID-19に対する薬物療法の考え方 第15.1版(2023)

ニュートピックス

・血液悪性腫瘍,B細胞枯渇療法(リツキシマブなど),造血幹細胞移植後,固形臓器移植後などの重篤な免疫抑制状態にある患者に,曝露前投与として,発症を抑制する目的で,中和抗体薬チキサゲビマブ・シルガビマブ(エバシェルド)筋注セットが使用可能となった.本剤もほかの中和抗体薬と同様に,変異株に対して効果が変化し,BA.4/BA.5で効果が低減し,BQ.1やXBB.1.5にはさらに活性が低い可能性がある.今後の変異株の動向に注意が必要である.

・中等症Ⅰまでの,発症から3日以内の患者に対して,エンシトレルビル(ゾコーバ)錠が緊急承認された.重症化リスク因子の有無に関係なく本剤の投与対象とすることができる.オミクロン株に特徴的な臨床5症状の期間短縮(中央値で24時間短縮)が検証されており,ウイルス低減効果も副次的に認められている.従来の抗ウイルス薬とは異なった投与対象に,異なる効果指標の検証が行われた薬剤であり,その特徴を活かした活用が期待される.

治療のポイント

・発症からの日数,重症度(),重症化リスク因子()の有無と高低により,治療の選択肢が異なる.

・発症早期(7日以内)の軽症~中等症Ⅰには抗ウイルス薬を,肺炎所見が悪化し酸素投与が必要な状態(中等症Ⅱ以上)になれば抗炎症薬の投与を行う.

・重症化リスク因子は年齢(60歳以上),肥満(BMI 30以上),糖尿病,慢性肺疾患,心血管疾患(高血圧症を含む),慢性腎臓病,慢性肝疾患,各種免疫抑制状態(がん化学療法を含む)などである.

・同じ重症化リスク因子でも,高齢になるほど,合併している基礎疾患の数が増えるほど,基礎疾患の管理状態が悪いほど(糖尿病におけるH

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