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GL2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
治療のポイント
・心室不整脈に対する治療と心不全に対する治療がある.病期が進行するにしたがって,不整脈から右心不全,そして左心不全への対応が重要となってくる.
・突然死リスクの評価を行い,抗不整脈薬やカテーテルアブレーション治療,植込み型除細動器(ICD)の要否を検討する.
・心不全は,下腿浮腫などの右心不全が主体であることが多く,利尿薬などの薬物治療が主体となる.
・運動制限が重要である.
◆病態と診断
A病態
・不整脈原性(催不整脈性)右室心筋症(ARVC)の病理学的特徴は,右室心筋における脂肪浸潤と線維化であり,右室自由壁心外膜側から始まり,次第に心内膜側に広がって貫壁性の病変となる.病変が進行すると,左室後側壁に浸潤することもある.
・遺伝的要因があるが,家族歴のある患者は30~50%程度であり,家族内浸透率も15~30%と低い.原因となる遺伝子異常には細胞接着に関連するデスモゾーム構成遺伝子や,Ca2+ ハンドリング蛋白であるリアノジン受容体遺伝子などがある.
B診断
・若年者の突然死の原因となることもあるため,早期の診断が重要である.
・初期病変や保因者の診断感度を高めるため2010年に改訂されたTask Force診断基準では,①機能異常・形態異常・組織所見に関して基準数値を設定,②右室自由壁からの心内膜心筋生検を重要視,③洞調律心電図の再分極異常所見を重要視,④左脚ブロック型上方軸の心室頻拍(VT:ventricular tachycardia)を重要視,⑤1親等内の家族歴を重要視,⑥遺伝子異常が追加された.しかし,この診断基準のみでは心サルコイドーシスとの鑑別が十分ではないことも指摘されている.
・VTを契機に診断されることが多い.
◆治療方針
病期を考慮した治療方針を検討する.
AVTに対する治療
主にアミオダロンや