診療支援
治療

門脈圧亢進症
portal hypertension
長沖祐子
(マツダ株式会社マツダ病院・消化器内科部長(広島))

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ニュートピックス

・エラストグラフィ(elastography)は超音波エラストグラフィおよびMRIを用いたMRエラストグラフィ(MRE:magnetic resonance elastography)に分けられる.特に近年はMREにより肝硬度を測定することで,肝線維化のみならず門脈圧亢進症診断へも応用され,非侵襲的検査として肝線維化進展度評価に対する検査として推奨されている.ただし,保険収載されているのは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)(疑いを含む)のみであることに留意する(2022年4月に保険収載).

治療のポイント

・門脈圧亢進症とは門脈圧の上昇によるさまざまな疾患の総称であり,消化管静脈瘤からの吐血や下血,貧血や血小板減少などの脾機能亢進,腹水や肝性脳症,門脈血栓症や門脈圧亢進症に伴う肺高血圧症など合併症は多岐にわたるため,常に全身管理が求められ,適切に診断を行うことが非常に重要である.

◆病態と診断

A病態

・門脈圧は通常100~150mmH2O程度に保たれているが,門脈圧が常に200mmH2O(水銀柱への単純換算で14.7mmHg)以上に上昇した場合を門脈圧亢進とする.

・門脈系からの流出血管抵抗の増大により,肝内に流入する門脈血流量は減少する.これにより門脈本幹から逆行する血液量が増え,肝外門脈血流が増加し遠肝性の血行動態(hepatofugal flow)を形成する.流出血管抵抗の増大に伴う流出障害は,肝前性閉塞(肝外門脈閉塞症;extra-hepatic portal obstruction),肝内前類洞性閉塞(特発性門脈圧亢進症;idiopathic portal hypertension,原発性胆汁性胆管炎;primary biliary cholangitis),肝内類洞性閉塞(肝類洞閉塞症候群;sinusoidal obstruction s

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