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治療

腎盂腎炎(急性単純性,複雑性)
pyelonephritis
宮崎 淳
(国際医療福祉大学教授(代表)・腎泌尿器外科学)

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GLJAID/JSC感染症治療ガイド2019

治療のポイント

・急性腎盂腎炎は,敗血症,敗血症性ショック,死亡を引き起こす可能性がある.

・敗血症または敗血症性ショック,尿路結石の既知または疑いの患者には,画像診断が推奨される

・尿培養は,診断のための重要な確認検査である.

◆病態と診断

A病態

・起炎菌は腸内細菌,通常はグラム陰性好気性細菌が多い.

・単純性腎盂腎炎は,成人女性において,尿路に構造的にも機能的にも異常がなく,妊娠しておらず,より重篤な結果をもたらしうる有意な併存症もない状況で発生した腎盂腎炎とされる.

・複雑性腎盂腎炎は,腎盂への尿逆流の素因(例:膀胱尿管逆流症,閉塞性尿路疾患,尿路結石に起因)を有する患者が罹患する.

・男性では,ほとんどの場合,小児または高齢患者で発生しており,解剖学的異常または器具操作に起因し,複雑性とみなされる.

B診断

発熱,脇腹の痛みまたは圧痛があり,尿検査で膿尿,細菌尿,またはその両方を示す.

・血液検査では,白血球増多,CRP上昇,血沈亢進などの炎症所見がみられる.菌血症や敗血症の可能性がある場合は血液培養(2セット採取)が必要となる.

・男性では,発熱と膿尿,細菌尿,またはその両方があり,脇腹の痛みや圧痛がない場合,前立腺炎の可能性がある.

◆治療方針

 「軽症・中等症」は主治医判断で「外来治療可能症例」,「重症」は「入院加療が必要となる症例」を目安とする.

 治療開始3日後を目安にempiric therapyの効果を判定し,培養結果が判明次第,definitive therapyに切り替える.

A軽症・中等症の場合

1.グラム陽性球菌が疑われるか検出されている場合

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)レボフロキサシン(クラビット)錠 1回500mg 1日1回 7~14日間

2)シタフロキサシン(グレースビット)錠 1回100mg 1日2

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