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治療

痛風,高尿酸血症
gout,hyperuricemia
古橋眞人
(札幌医科大学教授・循環器・腎臓・代謝内分泌内科学)

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GL高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版(2019年改訂)(2022年追補版)

治療のポイント

・痛風関節炎の治療にはNSAIDsを使用し,NSAIDsが使用できない症例にはグルココルチコイドを投与する.

・痛風発作の予兆がわかる症例には,予兆時にコルヒチンを投与する.

・痛風発作が落ち着いてから,尿酸降下薬の投与を開始する.

・原則として,腎負荷型(尿酸産生過剰型と腎外排泄低下型)には尿酸生成抑制薬を,排泄低下型には尿酸排泄促進薬を投与する.

・尿路結石の既往や中等度以上の腎機能障害時には,尿酸生成抑制薬を使用する.

・尿酸降下薬による痛風発作を予防する目的で,少量のコルヒチンを投与することがある(コルヒチンカバー).

◆病態と診断

A病態

・尿酸は,食事摂取や体内の核酸代謝からの産生と,腎臓と腸管からの体外排出とのバランスにより,尿酸プールとして一定の量が体内に保たれている.

・痛風は,高尿酸血症の持続により関節組織内に析出・沈着した尿酸結晶が,物理的刺激や急激な尿酸値の変動などによりはがれ落ち(crystal shedding),自然免疫系の活性化による炎症が惹起されることによって生じる.

・わが国の痛風患者は約100万人以上存在すると推測されている.

・高度の高尿酸血症に長期間さらされると痛風結節が生じ,関節破壊や圧迫による末梢神経障害,皮膚潰瘍を生じることがある.

・高尿酸血症の持続により,腎組織への尿酸結晶の沈着による慢性間質性腎障害や尿路結石による閉塞性腎障害などを原因とする痛風腎を発症することがある.

・癌化学療法施行中の患者においては,腫瘍崩壊症候群に伴う高尿酸血症を発症することがある.

・高尿酸血症と各種合併症との関連には,血清尿酸値ではなく,細胞内の尿酸やXOR(xanthine oxidoreductase)活性亢進に伴う酸化ストレスなどの関与が推察されている.

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