診療支援
治療

多発性筋炎・皮膚筋炎
polymyositis/dermatomyositis(PM/DM)
川上 純
(長崎大学大学院主任教授・リウマチ・膠原病内科学)

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GL多発性筋炎・皮膚筋炎診療ガイドライン(2020年暫定版)

GL膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針 2020

治療のポイント

・検出される自己抗体により病像が異なり,病像に応じた治療が重要である.

・生命予後を規定するもしくは予後不良因子として,悪性腫瘍,間質性肺疾患(ILD:interstitial lung disease),心筋病変,嚥下障害,感染症,抗MDA5抗体,抗TIF1-γ抗体,抗SRP抗体が挙げられる.

・悪性腫瘍合併の相対危険度は多発性筋炎(PM)で2.1,皮膚筋炎(DM)で4.4のメタ解析があり,有意に高い.

・ILDはPM/DMの50~60%に合併し,急性型と慢性型に分けられる.急性型(急速進行性)は抗MDA5抗体陽性が多く,高用量糖質コルチコイド,カルシニューリン阻害薬,シクロホスファミド間欠静注療法(IVCY:intravenous cyclophosphamide)の三者併用療法の早期導入が必要となる.三者併用療法の早期導入で生命予後は改善しているが,それでも6~12か月以内の死亡率は20~30%との報告が多い.慢性型も進行性肺線維化を呈する場合(進行性線維化を伴うILD)も予後は良好ではなく,抗線維化薬が必要となる.

◆病態と診断

A病態

・PM/DMは特発性炎症性筋疾患に含まれる自己免疫性疾患である.筋生検や皮膚生検でマクロファージやリンパ球を主体とした炎症性細胞の浸潤を認め,糖質コルチコイドや免疫抑制薬に反応することから,主たる病態は自己組織に対する自己免疫異常と考えられている.

・抗Jo-1抗体に代表される抗ARS抗体陽性患者では筋炎,発熱,関節炎,mechanic's hand(手指先端や母指・示指側面の落屑・鱗屑や亀裂),レイノー現象,ILDを高頻度に認め,anti-synthetase症候群ともよばれる.ILDは慢性型を呈する

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