頻度 あまりみない
GL血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)
◆病態と診断
A免疫複合体性小型血管炎
・免疫グロブリンおよび補体の血管壁への沈着を伴う血管炎で,ANCA関連血管炎と比較して免疫複合体性血管炎では中型血管への影響は少ないとされている.
・生検(皮膚・腎臓など)と,蛍光免疫染色による血管壁への免疫複合体の沈着を確認することによって確定診断をつけることが多い.
・主に以下の4つの疾患が含まれている.
1)抗糸球体基底膜腎炎:糸球体毛細血管,肺毛細血管,またはその両方を侵す血管炎で,抗基底膜自己抗体の基底膜沈着がみられる.肺胞出血を引き起こし,腎壊死と半月体形成性糸球体腎炎を引き起こす.
2)クリオグロブリン血管炎:寒冷で凝集し,加熱によって溶解する血清蛋白質であるクリオグロブリンによって惹起される.C型肝炎ウイルス感染によるものが多く,クリオグロブリン免疫複合体が毛細血管,静脈,細動脈の壁に沈着し,小型血管に炎症が生じる.皮膚,腎臓,末梢神経が侵されることが多い.
3)IgA血管炎:小児に発症しやすい.主に小型血管を冒すIgA1優位の免疫複合体の組織沈着による全身性血管炎である.IgA血管炎では紫斑,腸炎,関節炎を引き起こしやすく,時に糸球体腎炎が認められる.
4)低補体血症性じん麻疹様血管炎:じん麻疹と低補体血症を伴う血管炎で,主に小型血管が侵される.また,糸球体腎炎,関節炎,閉塞性肺疾患,眼炎症が認められることもある.抗C1q抗体が検出されることが特徴的である.
BCogan症候群
・間質性角膜炎・ぶどう膜炎・強膜炎などの前眼部炎,急性の感音性難聴・平衡感覚異常などの内耳疾患,眼・内耳疾患の間隔が2年以内などの臨床的特徴をもつ.
・上記の主症状に加えて,大中小型血管炎,大動脈炎,大動脈瘤,大動脈弁・僧帽弁炎を合併する.
・現在までに全世界で約250例の症例報告があるのみで,