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治療のポイント
・種々の原因で起こる病態であり,原因疾患,増悪因子の特定が治療方針決定に最も重要である.
・全身症状を伴う例は,皮膚科救急の1つであり,入院のうえ,補液などの全身管理を要する.
・全身の皮膚の毛細血管拡張,低蛋白血症,浸出液や不感蒸泄の増加により血管内脱水をきたしていることがあり,四肢の浮腫に対して安易に利尿薬を使用しない.
◆病態と診断
A病態
・紅皮症は全身の広範囲にわたる炎症性皮膚疾患の症候名である.
・アトピー性皮膚炎,自家感作性皮膚炎,全身性接触皮膚炎などの湿疹のほか,薬疹や,乾癬,毛孔性紅色粃糠疹などの炎症性皮膚疾患,天疱瘡や類天疱瘡などの自己免疫性水疱症,皮膚T細胞リンパ腫(特にセザリー症候群),成人T細胞白血病リンパ腫などさまざまな疾患が原因となりうる.
・発熱やリンパ節腫脹,全身倦怠感,低蛋白血症など皮膚以外の症状を伴うこともある.
B診断
・体表面積の90%以上を占めるびまん性の潮紅を示すものを紅皮症と診断するが,それに満たない70~80%以上のものも同様に扱い,検査,治療を行う.
・紅皮症の診断自体は容易であるが,原因疾患を明らかにすることが治療方針決定に不可欠である.病歴や臨床像,種々の血液検査や生検による皮膚,リンパ節の病理組織検査の所見を参考に鑑別を行う.
・内臓悪性腫瘍のデルマドロームとして発症することもあるので,必要に応じて全身の画像検査なども行う.
◆治療方針
A全身管理
発熱や全身倦怠感,浮腫など全身症状を伴う場合は,原則として入院のうえ,補液などの全身管理を行う.
B紅皮症の治療
原因疾患により異なるが,ステロイドの全身投与が必要になることが多い.頻度の高い原因疾患の治療方針は以下の通りである.
1.湿疹続発性紅皮症
アトピー性皮膚炎,自家感作性皮膚炎,接触皮膚炎などの湿疹病変が悪化して紅皮症になったもの.
Px処方例 下記1)~3)を併用
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