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GL性感染症 診断・治療ガイドライン2020
ニュートピックス
・新型コロナウイルス感染症の流行とともに性感染症の罹患率は世界的に増加傾向にある.人流制限などで閉鎖的な社会になったことで性感染症が増えたことがうかがえる.
・性感染症の罹患者は,しばしば治療のアドヒアランスが悪いため,単回投与が推奨される.性活動の多様化に伴い,咽頭を介した性行為感染があることを念頭におく.
治療のポイント
・女性の性感染症は,無症状のことが多く,婦人科医による検査,診察を積極的に行う.
・若年女性の罹患者が多く,不妊や母子感染症につながることから早期の診断・治療が重要である.
・最近の疫学(流行)を把握する.
・治療後には必ず病原体の陰転化を確認する.
・パートナーの診断と治療を促す.
Ⅰ.性器クラミジア感染症
◆病態と診断
・子宮頸管粘膜で増殖したC. trachomatisは,上部生殖器である子宮内膜,子宮付属器,腹腔内へと拡がり,子宮内膜炎,子宮付属器(卵管)炎,骨盤腹膜炎(PID:pelvic inflammatory disease)を発症する.
・子宮頸管分泌物もしくは尿道分泌物を用いた病原体診断が有用である.淋菌感染症との混合感染があることから,淋菌とクラミジアの同時検出キットが普及している.
◆治療方針
マクロライド系もしくはニューキノロン系の抗菌薬投与が有効である.若年層のクラミジア感染者は薬の飲み忘れなど服薬アドヒアランスが悪いことがあるため,単回投与(アジスロマイシン1,000mg,1回内服)が有効である.
妊婦には,マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシンのほうがクラリスロマイシンよりも危険性が低い)の投与を行う.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/アジスロマイシン水和物《ジスロマック》
- 治療薬マニュアル2024/クラリスロマイシン《クラリシッド クラリス》
- 治療薬マニュアル2024/ミノサイクリン塩酸塩《ミノマイシン》
- 治療薬マニュアル2024/レボフロキサシン水和物《クラビット》
- 治療薬マニュアル2024/セフトリアキソンナトリウム水和物《ロセフィン》
- 治療薬マニュアル2024/スペクチノマイシン塩酸塩水和物《トロビシン》
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- 治療薬マニュアル2024/バラシクロビル塩酸塩《バルトレックス》
- 治療薬マニュアル2024/ファムシクロビル《ファムビル》
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