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治療のポイント
・小児の尿路感染症(UTI)は疾患特異的な症状が乏しいことが多いが,腎の瘢痕化による将来的な腎不全を予防するためには,早期診断および治療介入が重要である.
・経験的治療で用いる抗菌薬を選択する際は,尿グラム染色の結果や過去の検出菌を十分検討し,広域抗菌薬の乱用を避ける.
・治療開始前に必ず尿培養を提出し,原因菌とその感受性が判明した段階ですみやかに標的治療へのde-escalationを行い,耐性菌獲得を極力回避する.
・抗菌薬による再発予防効果の限界を認識する.
◆病態と診断
A病態
・小児のUTIは,腎盂腎炎などの上部UTIと膀胱炎などの下部UTIに大別される.
・乳幼児におけるUTIは成人患者のような頻尿,背部叩打痛,排尿時痛,残尿感などの疾患特異的な症状が乏しく,発熱,経口摂取困難,不機嫌など非特異的な症状のみを示す場合が多く,早期診断および治療介入が困難な場合が多い.
・原因菌の8割は大腸菌であり,Klebsiella属,Proteus属,Enterococcus属のほか,基礎疾患を有する場合や持続尿カテーテル留置を要している場合などでは,緑膿菌などが関与する場合もある.
B診断
1.採尿方法
・バッグ尿による尿培養はコンタミネーションのリスクが高いため用いない.
・排尿が自立していない小児でUTIを想定した場合は,カテーテル尿による採尿が必要である.
・一方で,カテーテル尿であっても10%弱にコンタミネーションを認める.
2.尿検査
a.膿尿
・一般的な膿尿の定義は,非遠心尿:≧10WBC/HPF,遠心尿:≧5WBC/HPF.
・小児上部UTIの1~2割は膿尿を認めない.
b.細菌尿
・カテーテル尿で5×104 CFUs/mL以上,または中間尿で105 CFUs/mL以上の細菌尿が確認された場合にUTIと診断する.
◆治療方針
A上部UTI
1.経験的治療
a.市中感染症で,主に
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