診療支援
診断

8 心タンポナーデ・収縮性心膜炎

心タンポナーデと収縮性心膜炎

心囊水が貯留することで起こる心タンポナーデ,心外膜が硬くなる収縮性心膜炎はpericardial com­pressive syndromeとよばれ,類似点が多い.

血行動態学的に異なる点として心タンポナーデでは奇脈が,収縮性心膜炎ではKussmaul徴候がより高頻度に認められる.

両者の類似点としては,心筋拡張障害が目立つが収縮能は保たれること,心室間相互作用が顕著であること,頸静脈怒張がみられることがある.

心タンポナーデでは,吸気で静脈還流量が増えるタイミングで右心系が左心系を圧排し,心拍出量が著明に低下し奇脈を呈しやすい.

収縮性心膜炎では,硬化した心外膜で心の拡張が制限されているため,吸気時に静脈還流量を増やすことができずKussmaul徴候を呈する.

Kussmaul徴候とは吸気時に起こる奇異性の頸静脈怒張のことで,吸気時の胸腔内圧の減少によって生

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?