診療支援
治療

蕁麻疹関連疾患
Urticaria related diseases
田中 暁生
(広島大学准教授)

病態

 蕁麻疹様の皮疹を呈する蕁麻疹関連疾患として,蕁麻疹様血管炎,色素性蕁麻疹,Schnitzler症候群,クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS:cryopyrin-associated periodic syndrome)がある.蕁麻疹様血管炎は皮疹の性状と臨床経過は慢性蕁麻疹に似るが,通常の蕁麻疹と異なり個々の皮疹が24時間以上持続し,皮疹消褪後には色素沈着を残す.病理組織学的には,真皮小血管に白血球破砕性血管炎(leukocytoclastic vasculitis)がみられる.色素性蕁麻疹は皮膚局所に,組織学的には肥満細胞の過剰な集簇と臨床的には指頭大程度の色素沈着を認める疾患.多発性に出現することが多い.皮疹部を擦過するとその部位に一致して膨疹を生じる(Darier徴候).自己炎症性症候群であるSchnitzler症候群およびCAPSは,慢性蕁麻疹に似た蕁麻疹様紅斑を生じ,色素沈着を残さず消褪する.ただし,通常皮疹は痒みを伴わない.蕁麻疹様血管炎(,「蕁麻疹様血管炎」の項),色素性蕁麻疹(,「肥満細胞癌,色素性蕁麻疹」の項),自己炎症性症候群(,「自己炎症性症候群」の項)はそれぞれの項を参照されたい.本項では,皮疹が類似していることから特に蕁麻疹との鑑別が問題となる蕁麻疹様血管炎,Schnitzler症候群,CAPSについて概説する.

【病因・発症機序】①蕁麻疹様血管炎:特発性の蕁麻疹と同様に,自発的に皮疹が出現する.基礎疾患としてSLE,Sjögren症候群などの膠原病やウイルス感染症,血液疾患が合併していることがある.血管壁に免疫グロブリンや補体の沈着を認め,免疫複合体関連血管炎とされる.特に補体低下群で免疫複合体の沈着を認めやすい.②Schnitzler症候群:慢性の蕁麻疹様紅斑と血清中のモノクローナルなIgM(まれにIgG)の増加を特徴とする.③CA

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