診療支援
治療

Sjögren症候群
Sjögren's syndrome
簗場 広一
(医療法人社団どんぐり皮膚科副院長)

病態

【頻度】人口10万人あたり15人程度発症し,男女比は1:14と女性に多い.

【臨床症状】涙腺や唾液腺といった外分泌腺を標的とした自己免疫疾患である.眼球や口腔の乾燥感といった乾燥症状とともに,自己抗体や抗γグロブリン血症などの各種免疫学的異常を伴う.


診断

【問診で聞くべきこと】眼球や口腔の乾燥感の有無を聞いても自覚していないこともあり,長い時間会話をするとつらい,パンなどの乾いた食品を飲み込みにくい,虫歯ができやすくなった,眼がかすむ,ごろごろするといった聞き方をする.

【臨床症状からの診断】

1.腺症状

 乾燥性角結膜炎や唾液腺炎により,乾燥症状が出現する.

2.腺外症状

 高γグロブリン血症,関節痛,関節炎,Raynaud症状,筋炎,腎障害,胃液分泌低下による低酸・無酸症,間質性肺炎,自己免疫性肝炎,膵炎といった多臓器にわたる症状がみられる.

3.皮膚症状

 再発性遠心性環状紅斑,結節性紅斑,凍瘡様紅斑,蕁麻疹様血管炎,抗γグロブリン血症性紫斑,発汗の減少に伴う乾皮症などがみられる.

【必要な検査とその所見】抗核抗体,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体を測定する.抗核抗体が陰性であっても,抗SS-A抗体は陽性であることがあるため,注意を要する.抗SS-B抗体が陽性であれば抗SS-A抗体は必ず陽性になる.臨床症状や血清学的所見からSjögren症候群が強く疑われる場合には,診断基準に基づいて検査を進める(表12-8)


治療

 腺症状に対しては対症療法が主体となる.腺外症状に対しては症状に応じてステロイドや免疫抑制薬の投与を行うこともある.

1.乾燥症状

Px処方例 下記のいずれか,または適宜組み合わせて用いる.

1)ヒアレインミニ点眼液 1日数回 適宜点眼

2)サリグレンカプセル(30mg)またはサラジェン錠(5mg) 1回1カプセルまたは錠 1日3回 食後

3)ヒルドイドソフト軟膏 1日1~

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