病態
消化管疾患にみられる皮膚病変については,(1)消化管と皮膚を選択的に侵す群,(2)系統的疾患の部分症として消化管と皮膚を侵す群,(3)皮膚病変が原因で,二次的に消化管疾患を生じる群,(4)消化管病変が原因で,二次的に消化管疾患を生じる群に分類することができる(表33-1)図.このなかで,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とCrohn病(Crohn's disease:CD)からなる炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は最近増加傾向にあり,多彩な皮膚症状を伴い,病態や治療法においても関連が深い.
診断
【問診で聞くべきこと】皮膚症状の詳細な経過とともに,消化器症状の有無を聴取することが重要である.UCは下痢,血便,CDは腹痛,下痢,発熱などの症状を呈する.皮膚症状が先行してIBDの診断に至ることもあり,また消化器症状と皮膚症状の病勢の把握と治療においても消化器内科医との連携が重要である.
【臨床症状からの診断】IBDに合併する皮膚病変は,表33-1図に示すようなものが挙げられる.①壊疽性膿皮症:壊疽性膿皮症は,慢性に続き再発を繰り返す炎症性,破壊性の潰瘍で基礎疾患としてはIBDが最も多い.膿疱,紅斑,水疱などで始まり,急速に拡大して境界明瞭な穿掘性の潰瘍を形成する(図33-2a,b)図.IBDにより造設されたストーマ周囲に生じることもある(ストーマ周囲壊疽性膿皮症).②結節性紅斑:結節性紅斑は,下腿伸側に好発する発赤を伴う有痛性の皮下結節で,発熱や関節痛を伴うこともある.左右対称性に多発することが多く,皮下脂肪組織の炎症である.感染症に続発することが多いが,IBDの患者に出現することもある.CDでは,初期病変から組織球や巨細胞が浸潤し,このような所見を認めた場合,皮膚Crohn病として扱うこともある.③肉芽腫性口
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