診療支援
治療

急性動脈閉塞
Acute arterial occlusion
高山 利夫
(東京大学医学部附属病院 講師(血管外科))

【疾患概念】

 急性動脈閉塞とは,何らかの原因で動脈が急激に閉塞しその潅流域の臓器や組織に虚血性傷害をきたす病態であるため,原理的には全身のあらゆる部位で起こりうるが,本項では一般整形外科医が遭遇する可能性が高いであろう,四肢の動脈閉塞に限って述べることとする.左房内血栓など閉塞源が遠隔部にある場合を塞栓症,病変部にもともとあった慢性狭窄病変が局所で血栓閉塞した場合を血栓症とよび,それぞれ異なる病態と考えられるが,現実には両者の区別が明確でないことも多い.いずれにせよ大切断を避けるためにはすみやかな診断と治療が不可欠であり,四肢末端に冷感を伴う急激な疼痛を訴える患者を診療した際には,常に念頭におくべき疾患である.


問診で聞くべきこと

 疼痛(pain)・蒼白(pallor)・脈拍消失(pulselessness)・感覚鈍麻(paresthesia)・運動麻痺(paralysis)が,急性動脈閉塞

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