診療支援
検査

尿中レジオネラ抗原定性   211点
Legionella pneumophila antigen in urine
井田 陽子
(杏林大学医学部付属病院・臨床検査部)

基準値 陰性


測定法 イムノクロマト法(ICA),酵素免疫測定法(EIA)


検体量 尿1mL


日数

・院内検査:約15分(ICA),約3時間(EIA)

・院外検査:2~4日(EIA)


目的 レジオネラ症の迅速診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]レジオネラ肺炎,ポンティアック熱,その他のレジオネラ感染症 [対策]細菌培養検査,遺伝子検査,抗体検査を併用することが望ましい.本疾患は細菌感染症であるため抗菌薬治療が主体となる.しかし,レジオネラ属の多くの菌種はβ-ラクタム系およびアミノグリコシド系抗菌薬が無効である.また本菌は好中球やマクロファージなどの食細胞によって貪食されても殺菌されずに増殖し,細胞を破壊する.したがって,使用する抗菌薬は細胞内への移行が優れているニューキノロン系やマクロライド系抗菌薬が推奨されている


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 1976年7月,フィラデルフィアで米国在郷軍人集会が開催されたときに,原因不明の集団肺炎が発生し多くの死亡者が出た.この肺炎の起炎菌として,特殊な培地にのみ発育するグラム陰性桿菌が分離され,在郷軍人会(Legion)から由来してLegionella pneumophilaと命名された.疾患名は在郷軍人病(いわゆるレジオネラ肺炎)と呼ばれている.

 本菌は土壌や河川など広く自然界に生息する環境菌であり,本感染症は感染症法により4類感染症に分類される.近年では公衆浴場や一般家庭の循環式浴槽,または病院内環境における加湿器や給湯水,特に新生児室の沐浴槽が汚染され,院内感染症としても重要である.

 本疾患はレジオネラ菌を含むエアロゾルや粉塵などを介して空気・飛沫感染を起こす.急性肺炎の病型は悪寒,高熱,全身倦怠感,頭痛,筋肉痛などの不定症状で始まり,乾性咳嗽や胸痛などの症状が出現し,重症肺炎として急激に症状が進行した場合,呼吸不全やDICな

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