基準値 陰性
測定法 イムノクロマト法(ICA),ELISA,EIA
検体量 糞便小指頭大または1mL相当(吐物,食品など)
日数
・院内検査:10~30分
・院外検査:2~8日
目的 ノロウイルスによる胃腸炎の診断
Decision Level
●陽性
[高頻度]ノロウイルス感染症 [対策]ICAの検出感度は105~106個/gであるので,食材の検査には遺伝子検査が必要である〔RT-PCR(second PCR)の感度は100コピー/g以下〕.他のウイルス(ロタウイルスやアデノウイルスなど)や細菌による重複感染,二次感染の可能性も考慮する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ノロウイルス胃腸炎は,特に冬期に流行し,集団食中毒として世界的流行を繰り返している.ノロウイルスは少量で感染し,感染後1~2日の潜伏期を経て腹痛,下痢,嘔吐などで発症する.高齢者や乳幼児などでは重症化しやすいので迅速診断が必要とされる.施設(保育園や学校)閉鎖対策がとられることもあり,無症候感染者,給食感染者や食品の検査は,感染ルートの解明のために感度のよい迅速検査が望まれる.
ノロウイルスは変異しやすく,再感染も起こりうる.新生児の便は偽陽性を示すこともあるので必要に応じて遺伝子検査を行う.
判読
なるべく発症早期に検体採取し,迅速診断する.
採取保存
凍結保存.
測定前後の患者指導
嘔吐・下痢で脱水症状が進むと意識障害や痙攣の危険性もあるので脱水対策をとる.水分摂取と,必要に応じ早めに輸液を行う.
保険注意
①3歳未満,②65歳以上,③悪性腫瘍の診断が確定している,④臓器移植後,⑤抗悪性腫瘍薬,免疫抑制薬または免疫抑制効果のある薬剤を投与中,のいずれかに該当する患者について,ノロウイルス感染症が疑われる場合に算定する.
推奨する総説
牛島廣治ほか:ノロウイルス下痢症.臨床と微生物 40:155-160, 2013
(長尾 美紀)
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