基準値
・血清:4倍未満
・髄液:1倍未満
測定法 NT
検体量 血清0.2mLまたは髄液0.4mL
日数 6~12日
目的 エンテロウイルスによる結膜炎および手足口病の診断
Decision Level
●高値
[高頻度]①エンテロウイルス70型:急性出血性結膜炎(ときに合併症としてポリオ様麻痺).②エンテロウイルス71型:手足口病(ときにポリオ様麻痺,限局性小脳炎) [対策]①エンテロウイルス70型:ウイルス分離は困難な場合が多く,必要によりPCRによる検出を試みる.NTによる抗体上昇が1つの診断基準となっている.②エンテロウイルス71型:必要により,ウイルス分離,PCR法によるウイルス核酸を証明する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
エンテロウイルスは,ピコルナウイルス科に属する腸内ウイルスである.直径22~30nmで,エンベロープを有しない1本鎖RNAウイルスである.
エンテロウイルス70型は,急性出血性結膜炎(AHC)の原因ウイルスとして,眼分泌物より排出され,感染が広がる.増殖部位は眼に局在し,原因ウイルスと臨床症状の関連が明らかであり,眼分泌物からの強い伝染性のため,家族内感染や地域内流行が一般的である.まれに合併症として,結膜炎の約2週間後に,神経疾患(ポリオ様麻痺)を発症する.
エンテロウイルス71型は,手足口病の原因ウイルスであり,もう1つの原因ウイルスであるコクサッキーウイルスA群16型と交互に,約5年周期で流行を繰り返している.手足口病は夏に流行する特徴があり,口腔粘膜,手掌,足蹠に水疱が発生することで,臨床診断は比較的容易である.まれにポリオ様麻痺,限局性小脳炎などの中枢神経疾患を合併することがある.
[関連する検査]
コクサッキーウイルス抗体.
判読
①急性期と回復期のペア血清について,4倍以上の上昇があれば有意と認める.②エンテロウイルス70型:コクサッキーウイルス