基準値 検出なし
測定法 顕微鏡観察
検体量 糞便1g程度
日数 1~2日
目的 感染原虫の検索
Decision Level
●1つでも原虫(栄養型,嚢子)が検出されれば異常である
[高頻度]検出された原虫に感染している.腸管寄生の原虫の具体例は,赤痢アメーバ,クリプトスポリジウム,ランブル鞭毛虫,戦争イソスポーラ,サイクロスポーラ,ブラストシスチス,大腸バランチジウムなど [可能性]誤認による偽陽性の場合もある [対策]薬物治療(駆虫,対症療法)を行う.ただし,赤痢アメーバEntamoeba histolyticaが疑われた場合には,病原性がなく治療を必要としないアメーバであるE. disparとの鑑別を治療開始前にきちんとしておく.両者の形態的な鑑別はできないが,糞便から赤痢アメーバの遺伝子をPCR検出する検査ではE. histolyticaのみが陽性に出るので鑑別が可能となる
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
原虫が腸管腔(壁)に寄生していて,糞便とともに排出される.感染の重症度は原虫の数と相関する場合が多い.
[関連する検査]
①クリプトスポリジウムのオーシストの検出には,下痢便をショ糖遠心沈殿法で処理し,濃縮してから抗酸染色を施し顕微鏡観察する.②大腸内視鏡で検出した粘膜病変が赤痢アメーバ診断のきっかけになる場合がある.
判読
原虫が検出されれば感染ありと判断するが,原虫の誤認による偽陽性にも留意する.逆に偽陰性になるのは,原虫の数が少ないための見落としである.
採取保存
①一般的には糞便の乾燥に注意し,冷所保存をする.②赤痢アメーバの栄養型を下痢便中に光学顕微鏡で生きている状態で検出するためには,37℃に保ったまま可及的速やかに観察する.③赤痢アメーバのDNA定性には,糞便0.5gを凍結保存する.
薬剤影響
薬剤により検査結果が影響されることはない.
推奨する総説
吉田幸雄/日本寄生虫学
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