A.ER診療のポイント
●呼吸不全の原因となる慢性疾患がない患者において,呼吸機能が急速に低下し,室内気吸入下でPaO2≦60Torr(P/F比≦300とほぼ同義)を満たす場合に急性呼吸不全と診断する.さらにPaCO2≦45TorrのI型,PaCO2>45TorrのII型に分類される.狭義には,急性肺損傷(acute lung injury:ALI)/急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)とほぼ同義で用いられる場合もある.
●慢性呼吸不全の急性増悪は,文字どおり慢性呼吸不全状態にある患者の呼吸状態が急速に悪化したもので,基礎疾患を有しない急性呼吸不全とは診断上区別されるが,初期診療はほぼ同じある.ただし後者では治療目標が病態安定時と同程度の酸素化となる点が異なる.
●呼吸停止など急変し得る病態であり,適宜酸素投与を開始しつつ迅速に診