診療支援
治療

意識障害
consciousness disturbance
芳賀佳之
(さいたま市立病院・救急科部長)

A.ER診療のポイント

●意識障害は,意識の明瞭度(覚醒)の障害と,意識内容(刺激の認知や反応性)の障害の2つの面から評価を行い,失神,傾眠,昏迷,せん妄,昏睡などの用語を正確に使用して表現する(表1).

●意識障害の原因は,頭蓋内病変ばかりでなく,内因・外因双方の非常に広範囲に及ぶ病態が含まれることに注意を要する.

●ERにおける治療では,①重症度を判定して致死的な病態の改善を図ること(例:呼吸循環不全など),②病因を検索して改善しうる原因は速やかに除去すること(例:低血糖など)を最優先とする.

●意識障害の原因検索の過程で,最も情報量が多いのは病歴聴取,次いで身体所見である.いたずらに検査所見に頼るべきではない.

●意識障害は時間とともに増悪したり寛解したりするので,意識レベルの評価は1回にとどまらず,随時行うべきである.


B.最初の処置

1呼吸循環の維持 意識障害は重篤な病態の一部であることが多く,気管挿管を含む気道確保,呼吸管理,循環管理(ABCs)を最優先とし,まず呼吸循環機能を維持する(⇒詳細は「心肺停止と二次救命処置(ICLS)」,).

2酸素投与 状況からガス中毒が疑われる場合,直ちに高流量酸素(5L/分以上)を投与.

3バイタルサイン・意識レベルの評価 血圧,脈拍数,呼吸数,酸素飽和度,体温(腋窩,鼓膜で測定不能であれば直腸温)を測定し,できれば連続モニターする.意識レベルの判定には一般にJapan Coma Scale(JCS)(表2)もしくはGlasgow Coma Scale(GCS)(表3)が用いられる.近年JCS,GCSに代わるものとして日本ECS学会からEmergency Coma Scale(ECS)が提唱されている(表4).

4静脈ルート確保と採血(血液検査),血糖測定(簡易測定キット)

5是正可能な病態の治療 低血糖症(),痙攣(),高血圧性緊急

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