A.ER診療のポイント
●めまいを主訴にERを受診する患者には,多彩な症状が含まれる.
●めまいをきたす疾患として,末梢前庭障害や中枢神経系の障害によるもの,失神性めまいなどがあるが,その鑑別には病歴聴取,随伴症状の確認と神経学的診察が必要である.特にFrenzel眼鏡をかけて眼振の有無とその性状を確認することは重要である.
●急性心血管障害による失神性めまいと,急性脳血管障害を含む中枢性のめまいを見逃さないことがERでの診療のポイントとなる.
B.最初の処置
1バイタルサインと簡単な病歴聴取
失神性めまい,浮動性めまい,回転性めまいのいずれに近いめまいであるのかを簡単に確認する(表1図).低血圧,徐脈の有無に注意する.
212誘導心電図・モニター心電図観察
失神性めまいを疑う場合には,急性冠症候群や不整脈発作の可能性を考慮し,12誘導心電図をとり,心電図モニター監視を行う.
3病歴
1誘因の有無とめまいの性状
①長時間の起立後に,顔色が蒼白となって冷汗を伴うものは,失神性めまいの可能性がある.
②頭位や姿勢の変換に伴う回転性めまいを訴えるものには,末梢前庭障害によるめまいや,前庭神経核やその入出力系を含む脳幹,小脳の疾患がある.
2前駆症状
①胸痛を伴って発症しためまいでは,急性冠症候群や胸部大血管疾患などによる失神性めまいを疑う.
②頭痛・頸部痛を伴って発症しためまいでは,出血性脳卒中のほか内頸動脈や椎骨脳底動脈の血管解離による中枢性めまいの可能性を疑う.
3その他の随伴症状の有無 めまい時に悪心や嘔吐を伴うことは多いが,さらに耳鳴りや難聴などの蝸牛症状の随伴は,内耳から脳幹までの障害である可能性が高い.もし一過性であっても神経学的異常所見を疑わせる症状(視野欠損,複視,構音障害,四肢の脱力感や使いづらさ)があった場合には,急性期脳血管障害を疑う.
4精神疾患の有無 パニック障害の一症状として,めま
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