診療支援
治療

結核・法定伝染病患者の取り扱い
regulations of notifiable infections diseases and tuberculosis
太田康男
(帝京大学教授・内科学)

A.概念

●わが国では,感染症法,すなわち「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づいて,感染症患者を取り扱うことが義務づけられている.

●感染症法は,感染症の患者等の人権を尊重しつつ,これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し,感染症に迅速かつ適確に対応するため,従来の伝染病予防法,性病予防法,後天性免疫不全症候群の予防に関する法律を発展的に解消して制定され,平成11(1999)年4月1日から施行されている.

●その後,平成19(2007)年4月の改訂では結核予防法が廃止され,結核が二類感染症に位置づけられた.

●感染症法において,医師等の責務として以下のことが述べられている.医師その他の医療関係者は,感染症の予防に関し国および地方公共団体が講ずる施策に協力し,その予防に寄与するよう努めるとともに,感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し,良質かつ適切な医療を行うとともに,当該医療について適切な説明を行い,当該患者等の理解を得るよう努めなければならない.


B.感染症法の要点

1分類

 感染症の感染力の強さや疾患の重篤性などに基づいて,感染症を一類感染症から五類感染症までに分類している(「C.感染症法における感染症分類」参照).

2届出義務期間

 各感染症にはそれぞれの届出義務期間と患者の取り扱い方が規定されている.すなわち,一類感染症から五類全数把握感染症までは届け出が必要である.すなわち,一類感染症から四類感染症までの患者は直ちに,その者の氏名,年齢,性別その他厚生労働省令で定める事項を,全数把握五類感染症の患者については7日以内にその者の年齢,性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない.

3その他の感染症

 一類感染症から五類感染症以外に,新型インフルエンザ等感染症,指定感染症,新感染症が定められてい

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